LEEの映画紹介:ドイツ映画『帰ってきたヒトラー』

LEEの映画紹介:ドイツ映画『帰ってきたヒトラー』

こんにちは!

『るくせんブログ』運営者のLEE(@luxemblogvonlee)です。

今回は10月からドイツの大学院に行く僕が、みなさんも一度は見たことあるであろう『帰ってきたヒトラー』を紹介していきます。

全部を紹介してしまうと面白くないので、あらすじや全体の流れを少し書いていきます。

日本の映画館ではもう放映されていませんが、「Hulu」「アマゾンプライム」で見ることができるので、この記事を見て面白いと思った方はぜひ見てください。

ドイツ語ができる人は、ぜひドイツ語で観てください!

では、さっそくあらすじから見ていきましょう。

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あらすじ:ヒトラーが現代に戻ってきた、、、

題名にもある通り、1945年に自殺したアドルフ・ヒトラーが、自殺直前の記憶を失った状態で現代のベルリンで目を覚ますところから物語が始まります。

自殺直前の記憶がないため、ヒトラーは戦争の指導に戻ろうとしますが、ベルリンの人々は彼をその当時の総統であった「ヒトラー」と認識しませんでした。

「ベルリンのはずなのに、戦争の最中なのに、さっきまでいたところとは何かが違う、、、」

そう感じたヒトラーは情報を得るために*キオスクに立ち寄りました。

*キオスク:新聞などちょっとした物を売る小さな店。日本で言う売店。

そして、そのキオスクに置いてある雑誌を見て、記憶では「1945年」のはずが雑誌の日付が「2011年」であることに気付いて驚き、その場で倒れ込んでしまいました。

倒れ込んだところのキオスクの店長に、ヒトラーは介抱され、少しの間そのキオスクで働くことになります。

あまりにも「ヒトラー」に似すぎていることで、キオスクの主人の知り合いであるテレビ番組制作会社に紹介され、ドイツのTV番組に出演することになりました。

その出演したTV番組のプログラムで、彼は見ている人の度肝を抜く演説をし始め視聴者の心を掴んでいきます。

「彼の自信に満ちた演説と、「まるで昔のヒトラーを見ていると錯覚するようなモノマネは、世間で大きな反響を呼びました。

しかし、1945年に自殺した本物のヒトラーが、現代に蘇るわけもないと信じているため、その当時のドイツ人の心を掴んだ「異端的な大衆扇動術」に気づかず、大衆の気持ちはあらぬ方向へどんどんと刺激されていきます。。。。。。

 

さてあらすじと全体の流れは、ざっくりと簡単に書きましたがこんな感じです。

この映画は、2012年にドイツで小説として発売され、ドイツ国内では、なんと200万部も売り上げ、2013年時点では27ヶ国語に翻訳されています。

ではなぜこれほどまでの人気が出たのでしょうか。

最近のドイツの実情に精通している人はもうわかっていると思いますが、知らない人の方が多いと思うのでその理由を次に書いていきます。

この映画の元になった小説がドイツで200万部も売れた背景

映画の中でヒトラー役を演じる俳優が、ドイツの道行く人に向けてアドリブでインタビューをする場面があります。

その中で、インタビューで現代ドイツの社会の問題がどんどんヒトラーによって突きつけられ、最後には本物の難民排斥デモの映像が出てきます。

ヒトラーが現代に戻ってきたら、ドイツ人やドイツ社会は同じを過ちを犯すのかという「メッセージ」も感じれましたが、それ以上に現代のドイツ社会が右傾化しているタイミングで、出版されたのも大きいと思います。

ドイツにおける現代社会の大きな悩みの一つは、やはり「難民や外国人移住者の増加」ですね。

他にもいろいろと問題はあるのですが、すべて書くと長くなりますし、映画の中でも問題になっていたのが、「難民排斥デモ」なのでそれに関することを少し書きます。

難民や外国人移住者の増加による「ネオナチや右翼の台頭」

ドイツのニュースを見ている人は聞いたことがあるかもしれませんが、ドイツでは近年、*ナチズムを復興しようとする極右の「ネオナチ」という社会的・政治的運動が盛んになってきています。

*ナチスの政治・社会思想で、「国家主義」や「偏狭な民族主義」、「独裁主義が特色」です。

「ネオナチ」の特徴を一言で表すと、ヒトラーを見たことも戦争に行ったこともない人たちが、外国人など(アーリア人以外の人種)を標的に差別をしている組織です。

戦前のナチスと同様に、人種的な差別だけでなく、同性愛者や障碍者もその標的になっています。

ネオナチの数は増え続けていて、ドイツ連邦憲法擁護庁のウェブサイトでは以下のような報告が見られました。

ドイツ連邦憲法擁護庁によると、2017年の終わりには6,000人のネオナチが数えられるという。

その数は、2009年に比べて1000人以上も増加している。(参考:連邦憲法擁護庁)

以下はネオナチによる犯罪被害をまとめたものです。

2017年の死亡事件は一回で、暴力事件は2016年に比べて約400件下がっています。

犯罪をした人に対しての判決を厳しくしたことにより、全体的に見てネオナチによる犯罪被害は下がっています。

しかし、難民やドイツに移住してくる外国人は変わらず存在するため、ドイツ人の右翼はまだまだ増えていっています。

このように、近年におけるネオナチの数は増え続けています。

ネオナチの増加の一方で、2016年以降は難民の数は減ってきていますが、ドイツ移民・難民局によると2018年でも18万5,853人の難民が今だにドイツに来ています。

僕はドイツ留学中に多くの難民を見ましたが、ドイツ社会に溶け込むわけでもなく、彼らで独特の社会を持っている人がいました。

ドイツはゴミを捨てるルールが厳しいのですが、いくつかの難民はそれを守らないため、無法地帯のようになっていました。

政府が厳密なコントロールを難民に対して行っていないために、一部のドイツ人はドイツの秩序やアイデンティティーが侵害されることに大きな不安を抱いています。

そしてネオナチのような極右ではないけれども、「ドイツのための選択肢(AfD)」もドイツで台頭を続け、多くの賛同者を集めています。

例えば、ライプツィヒでは週一回は外国人排斥のための運動が行われています。その運動の最中に外国人が近づくと物を投げられたり、罵倒されたりすることがあります。

 

ドイツの新聞などでは、ヒトラーの時に罪のない人間を多く殺した罪悪感により、ドイツ政府は異常とも言えるほどの難民を受け入れたと言われています。

しかし、政府による管理がやはりおなざりになっている部分もありますし、しっかりとした計画を立てずにただ「過去の罪を補う」ために受け入れをした感があります。

そのため、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングは以下のような言葉を書いています。

「Im Kanzleramt regiert mehr das Herz als der Kopf」

 和訳:頭(理性)以上に心(感情)が連邦首相府の中で動いている

まだまだ外国人に理解のある方がドイツにはたくさんいますが、外国人の僕にとっては住みにくくなってきているなと感じました。

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まとめ

最近では、「帰ってきたヒトラー」だけではなくヒトラーを題材に扱うドイツ映画が増えてきています。

その一つの理由として、難民などによりドイツ全体が右傾化にあるためだと考えられます。

戦後は過去の罪を補うために尽力してきたドイツですが、最近のドイツを外から見ると政治がうまく機能せず、どんどんと内向きな思考に変わっている感じが僕はします。

すべての難民が危険という思考は大間違いですが、ISに関係している人がこの機に乗じてドイツに入国した可能性は否めません。

外国人排斥の傾向が高まってきたのは、ドイツだけでなくヨーロッパ全体でテロが増えてきたからではないでしょうか。

日本であまり関わることのない難民の方と、留学中に触れ合う機会を持てるのはとても貴重な経験になるはずです。

日本のニュースや人から聞いた難民のイメージは、実際はどのようなものか直接会って確かめると新たな価値観ができると思います。


『帰ってきたヒトラー』のDVDと本です。

本は映画とはまた違った面白さがあるので、ぜひ一度読んで見てください!!